片想いの奇跡
4
密かに気にしてていた、その彼がベンチで、ひとり分の隙間を開けて私の横に座っている。
ここは彼がいつも降車している駅のホーム。まだ始発が動いてそんなに時間が経ってないのに、もう人目が気になるくらい利用客が一人二人増えていた。
「あの」
泣き嗄れた声を私は振り絞った。空気は湿って涙をまだ乾かしていないのに、喉はカラカラだった。
「ん?」
「どうもすみませんでした。取り乱しちゃって……」