片想いの奇跡






「うん」



この返事は……どういう意味かな?その通りだよ、参ったな、なのか、ただ流してくれたのか……。でも彼の声、重く響く音色なのだけれど、どこか、優しい。想像していたのとちょっと違ってた。



「もう寝なくてもいいんですか?お疲れでしょ?」



言ってから、余計な詮索かも、と思った。だいたい、仕事帰りなのかちゃんと知ってるわけじゃないのに。勝手な思い込みから話を進める私の悪い癖。



「大丈夫」



「そうですか……」



元々が口数少ない人なのかも……。そうなると何を話していいのかわからなくなる。私自身迷惑をかけてしまったのだから早々にお礼を言って時間を取らせないように上手に帰宅を誘導しなければならないのに、的確な言葉が見つからない。





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