片想いの奇跡
相談というか、この際、今日の出来事を話すべきかなあ?
いやいや、それは初対面の人に、それも、醜態を晒して貴重なお時間を奪ってしまって、図々しい、というか、やはり普通に考えてあんな恥ずかしい話はすべきではないような気がした。
彼には何ら関係ないことなのだから。しかも、恥ずかしい出来事だ。
別の話をして、そちらのほうで匂わせようかな、なんてずるい私。聞いてもらいたい悟ってほしい気持ちも少しあった。
「私、受験生なんです」
「へえ、勉強大丈夫なの?」
「美術大学なんですけど、二回も落ちて……何だか最近は自信がなくなって……足踏みが何だか……浪人生活なんですけど、それが嫌になってきたっていうか……」
「ほう、どこ?」