片想いの奇跡
早朝の始発のやや草臥れた雰囲気の車内が辛くないのは……いや、バイト……いや、通勤が楽しいのは……。
いや、かもしれない、じゃなく、断定してしまおう。
彼の姿を眺めるだけで胸がワクワクして疲れが一気に吹き飛ぶ。これは現実だ。眺めているだけで幸せな気分になる人に出会ったのは多分、初めてかもしれない。
もともとお客で賑わった日は疲労が半端ないので近く辞めようと思っていた。そんな最中、彼を発見し、辞めるのを止めた。