彼女は、肝心な言葉が足りない。
 



 この時間が心臓に悪いんだよな~… 

 早く扉が開いてくれないかと思っていると、瞬きという僅かな時間で何かが顔を覗かせていた。

 
 「うーん……!?」

 
 突然過ぎて反応に遅れてしまったことを許して欲しい。


 少しの間フリーズした頭をブンブンと振って、理事長と思われる男性を直視する。

 言わなくても察してくれると思う。


 このノッポ、腹立つくらい整った顔をしてやがる。


 思わず睨みつけてしまったけれど、昔流行ってたらしい?瓶底眼鏡をつけているおかげでバレずに済んだ。

 その証拠に、にこやかな笑顔で室内に招き入れてくれたもん!(萌え)


 「えっと…卯月さん、だったかな?」


 転入生の名前を覚える気がなかったんだろう。

 疑問系で問いかけてくるノッポに、私もにこやかな笑顔で返事をする。


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