彼女は、肝心な言葉が足りない。




 「そうだよ、堀田さ(ぁああぁあ)ん」

 「…元気そうで何よりだよ」

 
 さっきも言った通り、この理事長は私の叔父さん。

 堀田秋助。

 叔父さんを敬ったことなんて、初対面以来だと思う。

 
 「嘘だって。てか、苗字変わったの知ってたんだね」

 「まあ、耳に入ってくるしな」

 
 旧姓は別にあるけど、今は言わないでおこっかな!

 そうだねー、言ったら面白くないしね。

 (主人公の独り言)


 「へー、そうなんだ」


 その場にいたもんね、という言葉を呑み込む。

 
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