夜。〜キャバ嬢の恋〜

目撃

ラブホに入る店長とゆめちゃんをみたあと、


中村さんと私は、とくに言葉を交わさずに歩いた。



『おくってもらっちゃって…ありがとうございました』


沈黙をやぶって挨拶する。

『うん』


中村さんは笑顔をみせずにそれだけ言った。


気まずい空気。


『…じゃあ…』



耐えきれなくなって、マンションに入ろうとする。

『まって』


中村さんに呼び止められた。

『二人の関係はわからない。見たことは事実だけど…』


私は目線を地面に落とす。


また沈黙。



『…私、誰にも言わないから…』


それだけ言い残すと自分の家のドアに向かった。



多分中村さんは、
少しの間立ち続けていたと思う。



部屋にはいって
滅多に吸わないタバコに火をつけた。



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