夜。〜キャバ嬢の恋〜

 -カサっ-


 予備のハンカチを放り込んだ時、黒いものが宙を舞って、リノリウムの床に着地した。

 ゴミかとおもって無視しようとしたけど、真黒いメモ書きとか、ガムのゴミなんてない。気になって手に取る。


 その瞬間、息がとまった。


 ・・・フロアから漏れてくる音が、遠くなったのがわかった。
 心臓がだんだん耳に近づいている感じ。音が大きくなってくる。鼓動が強くなる。

 
 黒い封筒の表には、目立たないようにうすい鉛筆書きで、書いてあった。




 『あさみへ』





 『はじめ』







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