夜。〜キャバ嬢の恋〜

 もちろん、最初は雑用ばかりだった。ひたすら雑用で、店の女の子とは話をしてはいけない決まりだった。
 しかし、夜の世界はよく人がいなくなる。
 ボーイが無断で辞めていく、ということだ。

 そうなれば、女の子の送り、終電のない時間に女の子を家まで送ったり、出勤確認とかいう、女の子のモーニングコールの仕事が回ってくる。

 女の子に好かれるつもりはなかったが、嫌われると厄介だ。やつあたりの対象にされ、めんどくさい。自然と機嫌を取るような態度をしなければならない。

 それに、キャバクラでは金を生み出すのは女の子である。ボーイはヒモと一緒で、女の子に稼いでもらわないと給料が生まれない。
 女の子に気を使い、辞めさせずに働かせ、さらに指名を取らせて売り上げを上げるのは、ボーイたちの永遠の課題なのだ。

 オレは、入って数日、そのシステムを理解した。

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