夜。〜キャバ嬢の恋〜
 『なんの話ー?楽しそうね。』

 店のナンバーワンのミミさんがきた。


 ミミさんは、私の少し前にはいったのに、それからずっとナンバーワンだった。


 私とゆめちゃんよりも、少しお姉さんだけど、
 きれいで、話題が豊富で


 憧れのひと。


 忙しいミミさんが話し掛けてくれるなんて、めずらしい。

 『なんでもないんですよっ。ゆめちゃんが勝手にわらっててっ、何かご用ですかっ?』

 私は慌てていう。


 『秘密にしないでおしえてよぅ。あー、実は二人に報告があってね…』

 ミミさんがふわっと笑う。
 ゆめちゃんとは違う、大人のわらい。


 『実はね、私、今度結婚するから…お店をやめることになったの…』


 ミミさんは声をひそめていった。

 『えっ!!そうなんですかっ!!!』

 私とゆめちゃんはハモって驚いた。

 『しーっ』

 ミミさんは慌てて辺りを見渡す。

 営業はまだはじまってないけど、他の子には知られたくないのかな。


 『引退イベントとかしないで、常連さんだけに言うから…

 二人はこのお店、一緒にやって長いから…でも新人さんには内緒にしてね』


 ミミさんは
 またふわっとほほえんで

 キッチンへ消えていった。


 『すごいね、ゆうな氏ー、めでたいねっ』

 『んー』


 ゆめちゃんがそういったけど…私はなんだか複雑だった。

 憧れのミミさんが秘密を話してくれたうれしさとミミさんがいなくなる寂しさ。
複雑な思いで営業を終えた。



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