この恋は少しずつしか進まない
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駅に着くと、やっぱり辰巳さんは車から降りて待っていてくれた。電車を利用する学生たちが辰巳さんのことを見ていて、「カッコいい」と呟いていた。
……本当に辰巳さんは魅力的な男性だと思う。
一度でも付き合えたことが奇跡みたいに。
「少しドライブでもしようか」
そして、甘い香りに包まれた車はゆっくりと発進した。
実は家族以外の人の車って酔いやすかったりするんだけど、辰巳さんの車では一度も気分が悪くなったことはない。
辰巳さんの穏やかな性格が表れているように、車の振動でさえ心地いいものに変わる。
私たちはドライブの途中で、コーヒー屋さんに寄った。飲み物はテイクアウトをすることにして、車で飲むことにした。
辰巳さんはいつもどおり、砂糖やミルクが入っていないアイスコーヒー。
そして私も本当は生クリームが乗っているフラペチーノがよかったけれど、見栄を張って辰巳さんと同じものを注文した。