この恋は少しずつしか進まない



「先輩、プリン冷蔵庫の一番上の棚に置いておきますね。作りすぎたけど全部食べられます?」


晩ごはんをすべて完食したあとのつかの間の時間。加島はデザートのプリンまで本当に作ってくれて、今もパクパクと食べているけどこれで三つ目。

……ヤバい。本当にコンビニよりもクオリティー高いし、スプーンが止まらない。


「明日までには余裕でなくなるから平気」

というか、今すぐにでも全部食べてしまいたいほど、なめらかさと甘さが絶妙だ。


「じゃあ、またたくさん作りますよ」と加島が言うから思わず毎日作ってと言いかけてしまった。

危ない。一晩だけって言ったことを自分で破るところだった。



「電気消しますよ」

そして夜。加島はフローリングに敷いたお姉ちゃんの布団を使って寝てもらうことになった。


一応、私の部屋はあるけれど、お姉ちゃんがあまり家に帰ってこなくなってから部屋のベッドもリビングに持ってきて寝るようになっていた。

また移動させるのも面倒だし、加島は見張ってないと図々しく部屋を漁りそうだから私の部屋にも行かせられない。

となると、必然的に川の字のような形になる。

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