この恋は少しずつしか進まない





次の日の朝。心配していた制服も無事に乾いて、もちろんヤツが入っているゴミはすぐに捨てにいった。


「はい。先輩のぶん」

今日も加島は私より早く起きてお弁当を作ってくれた。

ルールには書いてないから強制してるわけじゃないけど、小さなお弁当箱におかずをぎっしり詰めるのが楽しいようだ。


「あ」

身支度を終えてトイレに入るとフタが開いている。どうやら用は座ってしたみたいだけど、最後の最後で忘れてしまったようだ。


「加島、トイレ――」と、注意しようとしたけれど、加島が脱衣場から出てきてどうやら着替えをしていたらしい。


「ん?どうしたんですか?」

加島なりに一生懸命ルールを守ろうとしている姿勢は伝わってきたから、文句は言わないでおくことにした。

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