この恋は少しずつしか進まない






「仲良しじゃん、加島と」

クラスメイトたちが騒いでいる教室。

私の席は窓際の3番目で、美伽はその前の席。一時間目は教室移動だから準備しなきゃいけないのに、美伽は私の机に頬杖をついてさっきからそればっかり。


「だからそんなんじゃないんだって」

っていうかどう見たら仲良しに見えるんだろうって感じ。私がいつになく手を焼いていることはあのやり取りで分かるはずなのに。


「でも昨日も泊まらせたってことは加島の頼みを聞いてあげたってことでしょ?」

「……まあ」

「伊織は頼られると無下にはできない性格だけど、厄介ごとを家に持ち帰るタイプじゃないじゃん。それって少なからず情けだけで加島を受け入れてあげたわけじゃないんでしょ?」

「………」


否定したくてもできない。

美伽には色々と見透かされ過ぎていて、私よりも私のことを理解してるんじゃないかって思う。

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