この恋は少しずつしか進まない
そして私たちはそれからホームセンターに行って、帰りには加島の洋服を買いに古着屋へと入った。
外観で一線を引いていたけど、店内にある小物や洋服は案外可愛くて、なにより値段がリーズナブルだからたまには古着もいいなって思ったんだけど……。
「ねえ、そんなに買う必要あった?」
あれやこれやと加島がカゴに入れていたことは見てたけど、お会計して外に出てみれば両手に大きな袋が二つ。
「掘り出し物がいっぱいあったんですよ」
「あったけど、スパイダーマンのTシャツはいらなかったんじゃない?」
「え、あれ一番のお気に入りですよ。明日学校に着ていこうと思ってます」
「やめて。せめて部屋着で――」と、言い返したところで、私たちの後ろから声が飛んできた。
「直人?」
振り返ると、そこにはセーラー服を着た女の子が立っていた。うわ、とため息が出るほどの美少女。
一瞬、直人って誰だろうと思ってしまったけど、隣の加島がひどく動揺した顔をしていたから、加島の知り合いだって分かった。