この恋は少しずつしか進まない



「あーあ、完全に潰れちゃいましたね」

爆睡しているお姉ちゃんに加島が布団をかける。


二回目のカニ鍋を食べているまでは良かったんだけど、雑炊を食べるなら日本酒がいいと飲みはじめてしまい、完全に今は酔い潰れてしまった。


「彼氏さんに連絡しておいたほうがいいんじゃないですか?」

「うん。今お姉ちゃんのスマホからメッセージ送ってる」


どうせ今日は帰れないだろうし、明日は遅番だから溺れるまで飲めると言ってたから、今日はこのまま寝かせて明日の朝、彼氏に迎えにきてもらえるように頼んでおくことにした。


「っていうか冷蔵庫空っぽになっちゃったね」

卵もないし、お姉ちゃんがおつまみにウインナーを食べたいと言ったせいで明日の朝ご飯の材料すらない。

しかも、名前まで書いていた私のブルーベリーヨーグルトもなくなってる……。


「私、ちょっとコンビニ行ってくるから」

カバンからお財布だけを持って玄関に向かう。


「あ、待って。俺も行きます!」

ささっと買い物してくる予定だったのに、加島が慌てたように付いてきた。

< 67 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop