この恋は少しずつしか進まない
「あーあ、完全に潰れちゃいましたね」
爆睡しているお姉ちゃんに加島が布団をかける。
二回目のカニ鍋を食べているまでは良かったんだけど、雑炊を食べるなら日本酒がいいと飲みはじめてしまい、完全に今は酔い潰れてしまった。
「彼氏さんに連絡しておいたほうがいいんじゃないですか?」
「うん。今お姉ちゃんのスマホからメッセージ送ってる」
どうせ今日は帰れないだろうし、明日は遅番だから溺れるまで飲めると言ってたから、今日はこのまま寝かせて明日の朝、彼氏に迎えにきてもらえるように頼んでおくことにした。
「っていうか冷蔵庫空っぽになっちゃったね」
卵もないし、お姉ちゃんがおつまみにウインナーを食べたいと言ったせいで明日の朝ご飯の材料すらない。
しかも、名前まで書いていた私のブルーベリーヨーグルトもなくなってる……。
「私、ちょっとコンビニ行ってくるから」
カバンからお財布だけを持って玄関に向かう。
「あ、待って。俺も行きます!」
ささっと買い物してくる予定だったのに、加島が慌てたように付いてきた。