この恋は少しずつしか進まない
「ですよね!」
すると、女子たちは口を揃えて表情を明るくした。
「すみません、変なこと聞いちゃって。大半の人がふたりの間になにかあるわけないって思ってるんですけど、一部の人が妙に勘繰ったりしてるから確認しにきただけだったんです」
「加島くん人気あるし、水沢先輩はとってもいい人なので、ふたりが変に噂されちゃったらイヤだなって」
「そう、なんだ……」
「私たちみんなにちゃんと伝えておきますから。先輩と加島くんが付き合うなんて1%もありえないって!」
そうスッキリした顔をして後輩たちは去っていく。
またまた予想外の展開になってしまったけど、納得してくれたみたいで良かった……のかな。
「あんなに言い切られてもね」
ハッと気配を感じて振り向くと、そこには美伽が立っていた。どうやら先ほどの会話を聞いていたようだ。
「せめて30%ぐらいの可能性はあって伝えたほうがよかったんじゃない?」
「な、ないよ。可能性なんて」
美伽は「そうかな?」と言って、ローファーを下駄箱へと入れる。