この恋は少しずつしか進まない
けれど、いつも憎らしい加島が私を見上げていて。
痛いわけじゃないのに一生懸命氷で冷やしてくれたり、私の言い付けを守ってスパイダーマンのTシャツを部屋着にしていたり。
私が帰ってきたらすぐに食べられるようにテーブルに箸とコップを並べて。
続きが見たいはずなのに連ドラの録画を我慢してニュース番組を見てるところとか。
ぜんぶ、ぜんぶ、可愛いなって思っちゃったから。
「先輩だけですよ、俺を甘やかしてくれるのは」
加島の髪の毛はとてもサラサラとしていて、私がしつこいぐらい何度も撫でても加島は嬉しそうにしてた。
そんな加島に胸がキュンとしたのは、色々あって疲れてるせいだろうか。