この恋は少しずつしか進まない
……やっぱり。色々と完璧にこなしすぎて、ちょっとムリをしていると感じていた。
「普通でいいよ」
まあ、最初に決めたルールは継続していくけど。
「普段どおりということですか?」
「うん」
すると、加島が満面の笑みでニコリと笑った。
「じゃあ、今日の晩ごはんは先輩が作ってください。コーンが入ってるシチューがいいです」
「うん。シチューぐらいなら」
「あと、サッカーの試合だけはリアルタイムで見せてください」
「え、長い。結果だけで……」
「それから、俺を信用してスペアキーがあったら貸してほしいです。放課後、バスケとかして遊びたい時もあるし、まっすぐ帰らない時もあるかもしれないで」
今まで不満なくやっていたように見えてたけど、案外、我慢していたことがあったらしい。