亘さんは世渡り上手
第一章『クラスメート』
亘さんは委員長
いろんな臭いが混ざった空間に、頭をガンガンとならしていた。
俺の両脇にはクラスメートの女子が二人。
顔はまぁ悪くないけど、今すぐこの臭いをどうにかしてほしいものだと席を立った。
「ちょっと理人、どこいくの~?」
「ごめんごめん、トイレだって」
「えー? 早く帰ってきてよねー?」
「はいはい」
外に出て一息付く。
はぁ、クラス全員で行くって言うから仕方なく付いてきてやっただけなのに、何を期待してるんだか。
カラオケは好きだけど、あの異様な空間はどうにも居心地が悪い。
女の子がギラギラと俺を見つめてきて、ベタベタと触れてくる。まったく、モテる男は辛いよ。
……なんて、本気で言えたらよかったのに。
あんなのただのノリだろう。俺はそんなノリに付いていくのに精一杯で、どういう反応をすればいいのか迷ってしまう。
だからこうして、逃げてきたわけなんだけど……。
「あれ――和泉くん、入らないんですか?」
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