亘さんは世渡り上手
亘さんは友達が多い
あの日から、俺は亘さんのことをよく見るようになった。
とはいっても、警戒してのことだ。
亘さんはすごく鋭い。何をどう判断して感じているのかわからないけど、あれを放っておくのは危険だ。
さて、どうするべきか。
とりあえず当分は、クラスメートとして接して様子を見るしかないだろうな。
あわよくば、向こうの弱味でも握れたら楽なんだけど。
そのためにはちょっと近付いてみないといけないのがリスクかな。
「りーひとっ! どうしたの?」
「え……あ、ああ……考え事かな」
「えーっ、理人でも考え事とかするんだー!」
「ひどいな!」
女子が一人寄ってきた。
一人でいると、自分の立ち位置を忘れそうになるから助かる。
誰かと話すのは、自分がどんな人物なのかアピールになるからな。
俺はクラスの人気者、和泉理人なんだから。