亘さんは世渡り上手



「宇佐美、モテる男の極意って、なんだと思う?」


「イケメン」


「合ってるけど! 合ってるけどそういうことじゃなくてっ!」


「お金持ち」


「俺は内面の話がしたいんだよ!」



宇佐美はもう役に立たないと思ったのか、高橋は俺に標的を変えた。



「じゃあ理人はなんだと思う!?」



そうだな、俺の尊敬する男は父さんだから……。


父さんの性格って言ったら……。



「大切なものを、守れる人……かな」



高橋どころか宇佐美まで目を丸くして俺を見ていた。


あ、あれ。俺変なこと言ったかな。


確かに、モテる男って聞かれてるから父さんにとっては皮肉にも聞こえるかもしれないけど。でも高橋達はそれを知らないわけだし。



「かっ……かっっっけぇ…………!」


「理人がモテる理由がわかる気がする」



なんだか変な流れになってしまった。


この二人にも、ちゃんと本来の俺を認識してもらわないと。



「えっと、俺、みんなが思ってるほどモテるようなやつじゃないけど」


「はぁ~? 俺の知る限り、身近に二人おまえが好きなやつを知ってるがぁ~!?」


「それは……俺に夢見てるんだろ」



……ん? ひとりは谷口だとして、もうひとりは誰だ?

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