亘さんは世渡り上手



「夢ぇ~?」



まずい、高橋がウザ絡みモードに入ってしまった。


眉を片方だけ上げて、訝しげに俺を見てくる。


ちょ、ちょっと、今日は高橋の話を聞くんじゃなかったのか。



「あのなぁ! 理人がモテる理由なんて男の俺でもわかるわ! まず、イケメンだろ? それから、嫌な顔をしない。んで、本命がいるのに俺のために合コンに付き合ってくれる! ほらな! 女は顔が良くて優しい男が大好きなんだから、そりゃモテるよなぁ! わかったか!? 自分の魅力!!」



アンダスタン!? と言われて、ようやく意識が戻った。


黙って聞いていたけど、なんだこれ。なんで急に俺、高橋から、ほめ倒されたんだ?


高橋、俺のことそんな風に思ってたのか……。


亘さんも言ってくるけど、俺、そんなに優しくないのに。


恥ずかしい。高橋が言うと余計に嘘がないのがわかって、顔に熱が集まっていく。


俺は、



「……り、理解…………」



と、小さい声で返すしかなかった。


にししと歯を見せて笑う高橋。……うっざ。



「まぁ最近、理人もいろんな表情するようになってきたよな。初めはずっと笑顔で、ずいぶん人当たりの良いやつだなと思ってたけど……今の方がずっといいよ、面白い」


「もう! 宇佐美まで、なんなんだよ!?」



今日は高橋の合コンだろ!?



「言葉遣いも、ちょっと変わったな」



宇佐美の言葉に、はっとした。


俺……みんなに素を出せてる。

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