亘さんは世渡り上手
「ん……」
目を開けると、汗がびっしょりで気持ち悪かった。
時計を見ると十二時過ぎ。お腹の空き具合もちょうどいいし、昼飯にしよう。
でも、その前にシャワー浴びるか……。この汗のせいで熱は寝る前より下がっている気がした。
レンジで解凍できる冷凍食品を探して、解凍している間にシャワーに行くことにする。
レンジのスイッチを押したそのとき、スマホが音を立てて震えた。
何かと覗けば、ラインだ。ラインを交換している相手からしてどう考えても、高橋しか浮かばない。そして、その予想は的中した。
『理人ー! 谷口と八木はおまえのライン知らないみたいだし、教えてもいい?』
『俺達のライングループ作った! 理人も入れ!』
そして、グループ招待の通知がやってくる。メンバーはいつもの四人と、亘さん。もう、いつもの五人と言ってもいいかもしれない。
一方的に話を進められて、逃げられない状態にさせられてしまった。高橋、俺が体調が悪いってこと理解してるのか?
『早く元気になって遊ぼうな! なぁ、いつにする?』
でも、これくらい無遠慮に接してもらうほうが楽かもしれない。高橋の、底抜けた明るさ――バカとも言う――は受け入れたらこんなに、くすぐったい。
俺はグループ招待に承認すると、シャワーへ足を向けた。