亘さんは世渡り上手
そして、また谷口が高橋、宇佐美、八木の三人に怒りだして。ポコポコと音を立てながら速い会話が始まってしまった。
返信をすることはできないけど、目で文を追うことくらいはできる。みんな、こんなに楽しいことをいつもしていたのか。殻に閉じこもってばかりじゃいけないな。
ただ、クラスメート全員とこういうことができるかと聞かれたら、まだできないだろう。
俺はもう気さくで人気者の和泉理人じゃない。クラスメートとはどう接していけばいいか、少し悩みものだ。そういう点で、素を出せるのはこの五人――特に、亘さんだけだ。
そういえば……谷口が好きなのは、人気者の和泉理人なんだよな。
亘さんとは友達でいたい。
だから、もし、谷口が俺を受け入れてくれたら、暗くて面倒くさい俺でも、好きになってくれたら……。
ビックリマークを多用する怒った谷口の文章を見ながら、少し想像してしまう。
谷口は、亘さんと違って笑顔が明るくて。ライバル視する亘さんに友達認定されたらあっさり受け入れてしまうくらい、優しいやつで。俺のことを一途に想ってくれている、憎めない子で。
そんな谷口なら。もしかしたら。
……俺はまた、早く亘さんに会いたくなった。
すっきりしたい。
早く亘さんに俺についてを告げて、亘さんに頼ろうとする心をなくしたい。