亘さんは世渡り上手


これは、二年後にはすっかり親友になってそうだな……なんて苦笑していると、宇佐美がスマホを見ながら歩いていることに気付いた。


せっかく俺達と帰っているというのに、歩きスマホなんて。どうせ彼女となんだろうなと、少しうらやましく思う。


そう思っていたのは俺だけじゃなかったようで、高橋が肩を組もうと絡みに行っていた。あ、避けられた。



「宇佐美、彼女とラインをするなら俺の彼女の話を聞けよ!」


「嫌だよ。……ていうか、彼女じゃないし」



あれ、と首をひねる。


彼女じゃないのか。まさか、浮気か?



「他のクラスのミスコンとミスターコン、どんなやつなのかなって聞いてたんだよ」


「おっ、ライバルの偵察か! 有能!」


「そう。それで、もらった写真がこれ」



宇佐美は四人全員にスマホの画面が見えるように縦に持った。


スクロールされる画面に映し出される見目麗しい男女。すごい、レベル高いな。


そして、すべて見終わった後、俺と亘さんを抜いた四人は深くため息を吐くと、



「勝ち確!」


「決勝確!」


「このクラスでよかった!」


「これは優勝」



と、誰が何を言ったかもわからないくらい同時で、口々に言った。


……マジで言ってる?

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