亘さんは世渡り上手


されるがままになり、あれよあれよとできあがった姿で写真撮影に行く。


亘さんの隣に歩いて、二人きり……だったらよかったものの、後ろにはしっかり四人が付いてきていた。


それより、メイクをした亘さんの破壊力がすごすぎてよく見られない方が問題か。


一瞬見ただけでそれはもうお腹いっぱいになった。普段何もしなくてあれなのに、メイクなんてしたら高級食材が高級料理になるようなものだ。



「わたし、あまり人前に出て自分をアピールするのは苦手なんですが……ここまで応援されてしまうと、頑張るしかないですね」


「……っそ、そうだな」



視界の端でもわかる、嬉しそうに緩く巻かれた髪を触る亘さん。すれ違った人が目で追うのも納得できる。


かっ、可愛い……。


もう誰もがわかりきったことなんだけど、改めて再確認してしまった。



「みんなの期待に答えないとな」


「はい!」



にっこりと笑う亘さん。


だから、それは破壊力がすごいんだって――




「てっ、天使!?」




……は?


一瞬、俺の心の声が漏れたのかと思った。


だけど、亘さんの反応で違うことが確認できる。亘さんはびくりと肩を揺らして、目の前の光景に目を丸くしている。

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