亘さんは世渡り上手
「二年の三好鉄平です。優勝したら好きな女の子に告白しまーす」
三好先輩は、エンターテイメント性を重視しているようだった。色恋を匂わせた発言をすると、女子のみならず男子からも冷やかしのような歓声が響く。
「えっと……なんでここにいるかよくわからないのだが……がんばろうと、思う」
三年生は、単に人望がある人だった。同学年からの支持が高く、固い表情であるのにもかかわらず多くの声が降り注ぐ。
いかにも真面目そうな風貌で、教師からの評判もよさそうだ。
今日は前までの投票形式に加えて、クイズの合計点数などで優勝が決まるようになっている。
さすがに全校生徒の票をすぐに計算するのは難しいから審査するのは先生だ。
だから、教師からの評判というのは一番大事だったりする。
俺達は自分のアピールポイントを話したり、特技を披露していかに自分を目立たせるかを競い合い始めた。
「さぁそれでは、最後の審査に行きましょう! クイズ、イケメンは顔だけじゃない!」
そして、最後になって。
上から下りてきたスクリーンに『女の子を喜ばせろ!』という大きな文字が映し出される。
このクイズは、出されたお題に沿って女子の代表として生徒会長にアクションをし、一番点数が高かった人がポイントをもらえるというものだ。
あくまで世間的に、女の子が喜ぶ回答を正解にするみたいなので、生徒会長や教師に限定して好みを絞らなくてもいいらしい。