亘さんは世渡り上手
「『好きな女子からの恋愛相談、自分ではない男に告白しようか悩む彼女に、あなたはどう答える?』」
爽快なBGMが流れ出す。
心臓がバクバクと大きな音をたてているのに気付いて、深く深呼吸をした。
順番は、三年、二年、一年。最後なのは幸か不幸か。とりあえずやってみるしかない。
「あのね、私好きな人がいるんだけど……告白したいんだ。でも、断られるのが怖くて……」
なかなかに演技派の生徒会長。切なそうな表情を三年生に浮かべる。
司会が三年生にマイクを向けている。
三年生は慣れていないのか慌てた様子で考えると生徒会長の方を見てそっと近付いた。
「……が、がんばれ。俺は、応援している」
ぎゅっと生徒会長の手を握る。
きゃーっと三年生の席から奇声が聞こえた……随分野太い声の。
評論家のように肘をついて口元で指を組んでいた女性教師は、分厚い眼鏡をキラリと反射させて点数札を上げる。
……七点だ。ちなみにこれは十点満点である。
それを皮切れに横に並んだもう二人の先生も札を上げた。
六点、八点。
司会からマイクを受け取った分厚い眼鏡の先生は、とても真面目に真剣な顔で言った。
「慣れない感が非常にいじらしくて萌え」
先生、オタクが出てますよ。