亘さんは世渡り上手
顔を真っ赤にして小さくなった三年生を見ると、三好先輩がパッと笑顔になって三年生の立ち位置を押し退けていた。
「えー? そんなやつより、僕にしたら?」
そして、生徒会長と鼻が触れそうになるくらい近付く。
あれ? なんか主旨変わってない?
これ、俺も乗らなきゃいけない流れじゃ……。
予想外の出来事に、生徒会長は「え゛っ!?」と驚いて固まってしまった。いや、そりゃそうだろ。いったい何をやってるんだ三好先輩は。
先生に意見を求めて振り向くも、楽しそうな表情だったので続けるべきのようだった。マジかよ……。
「何やってるんですか、三好先輩」
はぁー、と深くため息を吐きつつ、三好先輩と生徒会長の間に割って入る。
「だって、ここにこんなにいい男がいるっていうのに彼女は他の男選ぶって言ってるんだよ? 僕はそんなの許せないなぁ」
「好きな女の幸せも願えないんですか」
「何もしないで取られてもいいんだ?」
にやり、三好先輩は笑みを浮かべる。
こいつ、面白がってやがる。
仕方ない、さっさと終わらせよう。
生徒会長に視線を移して、冷ややかな目を向けた。
「会長、好きな男にさっさと告白してきてください。それで、早く振られてくださいね」
「えっ、わたし振られること前提なの……?」