亘さんは世渡り上手
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「二人で仲良くサボりですか」
授業が終わったのを見計らって教室に戻ると、ドアの前で谷口が仁王立ちしていた。
「さぞかしお楽しみだったんでしょうね」
嫌味ったらしくそう言って胸を張る谷口。
あ、あれ、こいつ、先輩と良い感じになれたんじゃ……。
「谷口さん、あれからイケメン先輩と話せていません」
八木が横から解説を入れてくる。八木はあの場にいなかったはずだけど、なぜ知っている。
「はーいいですね恋人がいる人は! サボりさえ青春の一ページにしてしまうんですね!」
谷口の妬みが前よりさらに酷くなっている。邪魔はしなくなったけど、厄介さは増した気がする。
上手くいかなかったのか……。
亘さんは焦った様子で弁明しようとした。
「ええと、そういうのでは全くなくて……」
「今の私は何を言われても良いように取れないからやめた方がいいよ」
自覚あるんかい。
「今の谷口、何言っても嫌味しか言ってこないからめっちゃウザい」
「う……ごめんって八木」
一番被害を受けているのは八木だった。
ドンマイ。っていうくらいしか俺にはできない。