亘さんは世渡り上手
放課後、俺は三好先輩の教室に来ていた。
谷口からのお願いを早速実行しようとした際、やっぱり俺ひとりじゃ不安だったからだ。三好先輩を道連れにしてやる。
「三好先輩いますかー?」
二年の教室に来るなんて緊張してしまう。ただ、あの三年生のイケメンに彼女の有無を聞くよりは緊張しない。
ドアから中を覗くと、二年生の目が俺に集中する。うわっ、そんな見る?
「和泉くん! どうしたの会いにきてくれるなんて。亘ちゃんとはうまくやってる? え、というか本当にどうしたの?」
テンションの高い三好先輩に絡まれる。ちょっと助かった。
「今からミスターコンの三年生代表だった人に会いに行くんですけど、着いてきてくれませんか?」
「……話が全然見えないけど」
「あの人に彼女がいるか聞けって友達に言われまして。三好先輩がいたら心強いかなーと思って誘いに来ました」
「えー、僕に全然メリットなくない?」
損得感情で考えられると、何も言い返せない。
「…………お礼に今度一緒に遊ぶとか」
「いいね! いつにする?」
こんなんでいいのか……。
やっぱりこの人のこういう態度、一緒にいるだけで楽になれるな。