亘さんは世渡り上手
「ケンちゃん覚えてないの!? ミスターコンで優勝してた子じゃん!」
すかさず剣持先輩の男友達がかけよって俺の説明をしてくれる。
「ミスター……? あ、あぁ……よくわからないまま出てよくわからないまま終わったやつか……」
うわそれめっちゃわかる。俺もよくわからないまま出てよくわからないまま終わってたわ。
大体好き勝手やりだした三好先輩のせいなんだけども。
そんな三好先輩は、三年生の女子に囲まれて会話していた。あれが、かつて亘さんのこと好きだった男なんだよな……。
「ええと、それでその優勝くんが俺になんのようなんだ?」
「先輩って付き合ってる人いますか?」
「なっ!?!?!?」
「えっ!?」
うるさっ!! 急に大声出すのはやめてほしい。
キーンと耳鳴りがして一瞬目をつむる。その後ゆっくりと目を開けてみると、剣持先輩は耳まで真っ赤になっていた。
「あ……あのだな、そういうことは、俺には向いていなくてだな……」
「ごめん和泉くん。ケンちゃん、女子慣れしてないどころか、付き合うとか恋人とかそんなワードでさえ照れちゃうんだ」
おい、うぶとかそういうレベルじゃないぞ谷口。