亘さんは世渡り上手
親公認でイチャイチャすることを許されてしまった。
さて、どうしよう……と、いや、まぁ変なことはできないけど。
次こそ本当に父さんが帰ってくるまで二人きり。亘さんは、そわそわと落ち着きがない。
「え、ええと……」
明らかに俺を意識したような亘さんに、笑みがこぼれてしまう。
「ゲームでもする? あんまり持ってないけど」
俺は棚からゲームソフトを取り出した。亘さんがやりそう――というかやらなさそう――なタイトルは少ない。
対戦ゲームや、協力して敵を倒すようなものはあるので、一緒に楽しむことはできるだろう。
どうだろうか。亘さんの反応を確認した。
「あ……そ、そうですね、ゲーム……しましょうか」
頷いてくれたので、早速準備を始めよう。
テレビやゲーム本体はリビングにしかないので、リビングに移動した。
テレビに線を繋いでいく。そして、ゲームソフトをパッケージから取り出す――。
突然。
背中に、ずっしりとした重みが加わった。
「…………やっぱり、こうしているのは駄目ですか?」
それはまごうことなく亘さんが抱きついてきた感触だった。