亘さんは世渡り上手
亘さんは教え上手
亘さんは、ただの無表情女じゃないかもしれない。
昨日はあのまま流れ的に二人で帰ることになったけど、何もしゃべらなかった。
気まずいとか気まずくないとかそういう次元じゃなくて、なんかもう、頭が真っ白だった。
あーどうしよう。見るからに動揺しちゃったよ。絶対亘さんの表情が変わることが変だって思わせた。
どっちかというと俺は亘さんにもっと表情豊かになってほしい。なぜなら、もっとわかりやすくなって俺に弱味を見せてほしいから。
あー、くそーまずいなー。
「理人ぉー、昨日は委員長とどうだったー?」
頭を抱えていると、ヒロイン推しの男こと高橋がにやにやと近付いてきた。
「どうって、一緒に勉強しただけだけど」
「はぁー!? おま、俺達が二人きりにしてやった意味ねーじゃねーか! ひよったんか!?」
「というより……」
元からそんな意味はないから。
って……いや、待てよ?