亘さんは世渡り上手

俺は迷うことなく頷く。



｢はい……ですね｣


｢キスが原因でしょ？｣


｢ええっ！？　そ、そこまでお見通しなんですか……？｣


｢まぁ……心当たりはそれぐらいだし……｣


｢わ、わたし……あの……｣



亘さんはもじもじと身をよじりだす。


うわ……なに、恥ずかしがってる亘さん、最高に可愛いんだけど……？


何を言い出すつもりだろう。キスが恥ずかしいのであまりしたくない、なんて言われたら結構ショックだ。




｢―――わたし、へ、変態だったんです！｣




はぁ……？


本当に亘さんの口から出た言葉なのか、一瞬疑った。


だけど俺の目の前にいるのは紛れもなく恋人の亘さんだ。声も亘さんのものだったし、恥じらった表情なのも台詞と合致する。


亘さんが変態？　そんなバカな。どう考えたってかけ離れているほうだろ。


いや、亘さんが変態か……まぁそれも別に……って、変態なのは俺のほうじゃないか？



｢あー、えっと……どういうこと？｣



とりあえず一度話を聞くことにした。


言葉にした後、亘さんはかなり羞恥心に覆われたのか顔のほとんどを手で隠してしまっている。


｢ううぅ……｣といううめき声とともにぷるぷると震える体は、可愛いとしか言いようがない。