亘さんは世渡り上手

■■■


クリスマスが近付くにつれ、谷口が何かと奮闘しているのが目に入る。


剣持先輩の友達のところへメモを片手に行っては、一緒に近付く方法を考えてもらっているみたいだ。


相手が手強いのを知ってる分、自分から頑張ってる姿を見ると応援したくなるな。


そんな谷口を亘さんと和みながら見て、軽く会話を交わす。



「亘さんは、クリスマスは家族と過ごすんだったよな」


「はい。和泉くんは……お父様とですか?」


「うん。今年は一緒にケーキを作ろうかなって」


「わぁ……素敵です」



あ……待てよ。


俺達、あたりまえのようにクリスマスを各自で過ごす予定を組んでるけど、ここは恋人らしく一緒に過ごすべきなのか?


でも、父さんと過ごさない選択肢はないから不可能か。


うーん……。



「なぁ、亘さん」


「なんですか?」


「クリスマス……イブは、空いてる?」



そうだ、クリスマスイブがあった。


恋人らしいから、という理由で誘うわけではないけど、少しでも一緒にいれたら嬉しいかも。



「あ……そうですね、ええと」



亘さんは迷う素振りを見せる。


別に、無理ならいいけど。



「それなら……和泉くん、(うち)に来ませんか?」



……ん?

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