亘さんは世渡り上手


父さんに事情を説明すると、すぐに協力してくれた。


一緒に手土産を考え、一緒に服を買いに行き、亘さんとのデートプランを考える。


やっぱりクリスマスだし、大きなツリーを見ることが醍醐味かもしれない。イルミネーションに照らされる亘さんなんて、美しい以外の感想があるものか。


迫り来るクリスマスイブ。一日一日のカウントダウンは、あっという間に過ぎ去っていく。



「和泉くん」



クリスマスイブの一週間前。



「放課後デート、どうですか?」



亘さんは、自分の武器を惜しみ無く使って俺を誘ってきた。



「はぁ……結構寒くなってきましたね」



白い息で自分の手を暖める亘さん。


確かに、そろそろ手袋が必要になってくるかもなぁと思い、彼女と手を重ねた。


触れ合った手は自然と恋人繋ぎになっていく。



「和泉くんの手、暖かいですね」


「心臓からめちゃくちゃ血液流れてるって感じがする」


「……どういう意味ですか?」


「すごくドキドキしてるってこと」


「あ……ええと」



意味を理解して、亘さんは俺から目を逸らした。


赤らめた頬。手のひらも、だんだんと熱を帯びていく。



「わたしも、暖かくなってきちゃいました……」



可愛すぎる。抱き締めたい。

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