亘さんは世渡り上手
放課後デートなんて言っても、ただ家まで帰るだけ。
それなのにこれだけ幸せなひとときだと思えるのは、変なのだろうか。
並木道にはイルミネーションがチカチカと点滅している。冬の放課後ともなれば辺りは薄暗く、それを照らすイルミネーションの美しさが際立っていた。
「……和泉くんは、クリスマスプレゼントほしいものありますか?」
「まぁ、あるけど」
「えっ! なんですか?」
「亘さんとの時間」
「…………………………」
模範解答のつもりだったのに、黙られてしまった。
やっぱりキザすぎ? スベった?
ダサいな、俺……。
「…………そ、それは、クリスマスじゃなくてもあげられるので駄目です」
なんとやり返されてしまった。
心臓に悪い。これは黙ってしまうものだった。
「え、ええと! もっと形のあるものでほしいものはないんですか!?」
亘さんはこほん! と咳払いをしてから、寒いのか暑いのか見分けのつかない顔で俺を見上げてくる。
ただ、手はじんわりと汗をかいていて、照れは伝わってきていた。
「うーん」
ただ特に思い付くものはない。