亘さんは世渡り上手
俺と叶葉
――今日はクリスマスイブ。
とはいえ、普通に学校はある。
どうせなら冬休みにしてほしいものだけど、今日は終業式のみ。冬休みは明日からだ。一日くらいなら見逃せる。
終業式が終われば、着替えて亘さん家で昼食ををいただく。それから、亘さんとデートだ。
亘さんもまだ来てないし、暇だな……。
教室で予鈴が鳴るのを待つ間、今日の予定をぐるぐると頭の中で考える。
「かっ、カチコミじゃーい!」
『おおーっ!』
……何やってんだ、谷口のやつ。
おそらく剣持先輩の友達である数人を引き連れて、廊下を走っていく姿。
頑張ってるんだなぁ、あいつも。
谷口が消えた方向をぼぅっと見たままにしていると、そこから三好先輩が現れた。
どことなく困った表情に見える。
「おーい、和泉くん」
そして手招きをしながら俺に声をかけてくる……。
なんなんだ、この人は。なんでこんな日に限って近付いてくるんだ。
「はぁ……なんですか」
しぶしぶ席を立って、三好先輩の方へ向かう。
「今日三人の女の子からデートに誘われたんだけど、誰か一人に絞ったほうがいいかなぁ」
「どうでもいいんですけど。勝手に決めてください」
自慢しにきたのか? 俺には効かないけど。