亘さんは世渡り上手
使わないっていうのももったいないし、まぁ一応もらっておくか。
亘さんと使わなかったら、父さんと行けばいいし。
「でもまぁ、使うにしてもテスト終わってからだね」
「てすと……?」
こらそこ、とぼけたふりをするんじゃない。
「高橋……帰ってからちゃんと勉強した?」
「あのまま四人でカラオケ行った」
「おい」
やっぱり勉強する気なんて全然なかったんじゃねぇか。
まだ一年生だからって遊んでたら後で絶対痛い目見るぞ。遊ぶのはいいけど、せめてテストくらいは必死にならないと。
ここは……亘さんに頼むか。
「あ、亘さん」
偶然俺の席の横を通りかかった亘さんに声をかける。
タイミングぴったりだ。
「はい、なんですか?」
「今日また勉強会やろーよ。今度はこいつらも入れて」
高橋の腕をぐいと引っ張る。
「え、え、理人? オレ、ヤダ、ベンキョウ、ヤダ……」
拒否権はないでーす。