亘さんは世渡り上手
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日は変わって土曜日。
俺と亘さんでは家からの最寄り駅が別なので、集合場所はショッピングモールの最寄り駅だ。
今、俺は、亘さんとまっすぐ向かい合っている。
「和泉くん、こんにちは」
「亘さん、こんにちは」
なんだこれ。
デートなのにドキドキ感が全然ないんだけど。
あーていうか、俺の初デート……亘さんになるのか。いや、こんなのがデートって言っていいのか?
待て待て待て、これはデートじゃない。一応俺達は友達なんだろ? 友達同士で出かけるのは別にデートじゃない。
「和泉くんは、こういう映画好きなんですか?」
「え、うーん、普段は……話題になったら見に行く程度かな」
「そうなんですね。わたしはあまり見ないジャンルなので、新鮮でわくわくします」
わくわくしてる顔には全く見えないけどな。
ほら、亘さんを見ろ、意識も緊張もする様子すらない。俺のことを友達としか見ていない証だろう。
なんかそう考えると、緊張してるのは俺だけみたいで嫌なんだけど。
いや別に、緊張なんてしてないけどな。