亘さんは世渡り上手
谷口は高橋を押し退けて俺に近付いてくる。
「なんの話してたの?」
「それは、理人が委員長と……」
「高橋には聞いてない」
「ふえぇ……」
高橋は泣き真似をして、声に出してしくしくと言っていた。
かわいそう。
「って……亘さん?」
谷口が眉を潜める。
「亘さんと、何かあったの、理人」
「え、まぁ、二人で遊びに行ったというか……」
「えっ、なんで? 私とは遊んでくれないのに……」
谷口は下を向いて落ち込み始めた。
め、めんどくさ……。
谷口はさっぱりしてて付き合いやすいと思ってたんだけどな。
結局そうなるのか。
「おまえ理人の気持ちも考え……」
「高橋うるさい」
「……うぅっ、ぐすぐす」
そろそろ高橋も心のえぐりが限界だろう。
俺は立ち上がって、谷口に言い放つ。