亘さんは世渡り上手


俺の中で完全に亘さんのことは友達として決着をつけたからなぁ。


まぁ、好きな人と出たとしても友達と出たとしても、亘さんを連れていけばいいだろ。


不思議そうに首をひねる高橋に「俺はそうだけどね、いないやつの話ね」とごまかしを入れて、強引に話を進ませる。



「一年からそんなえぐいの出してくるとは思えないけど」


「まー、それも一理ある」


「うわ、高橋が一理なんて難しい言葉使った」


「うわってなんだよ、うわって!」



はぁ、高橋がバカでよかった。過去の話を掘り返すやつじゃないし、これで変に疑われないだろ。


そうこうしているうちに女子の方も決め終えたみたいで、クラスの種目分けは終了した。


すんなり行きすぎて余ったときは自分達の席に戻って、しばしのコミュニケーションタイムだ。うるさくなりすぎないようにというルールの下、自由が与えられるのである。


どっちかというと、俺はさっきまでも雑談の合間に種目を決めていたという印象が強いけどな。

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