亘さんは世渡り上手


全員が元の席に戻ったところで、後ろからツンツンと肩をつつかれた。



「なー理人、合コン行ってくれねぇ?」


「……どうしたの急に」



俺の後ろの席は、いつもの四人組の一人、宇佐美だ。あの高橋と友達とは思えないくらい落ち着いたやつで、いつもまぶたを重そうにしながら目を開いている。


こいつも俺が亘さんのことを気にしているということは察していると思ってたんだけど……。



「や、人数合わせでいいんだけどさ……高橋が彼女ほしいってうるさいんだよ」


「あー、別れたばっかりだったっけ」


「そうそう。あいつ、ああ見えて意外と傷ついてたりするから、さっさと新しい彼女作ってやりたくて」


「そうなんだ」



さっき話したときは、いつも通りバカだと思ったけどな。彼女と別れて悲しそうにしてる姿は見たけど、ちょっとふざけながらな感じだったし。


……まぁ、なんだ、一応、高橋は友達だ。うるさいだけで悪いやつじゃないのは、もうわかってる。

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