亘さんは世渡り上手
「合コンって言っても、軽く他校の女子と遊ぶだけだし」
「いつ?」
「夏休み」
夏休み……。
その言葉を聞いただけで、腹の辺りがぎりぎりと痛い。
「まぁ、いいよ。具体的に日程決まったら連絡して」
そう軽く言えば、宇佐美の眉間に深くしわができた。
「連絡って……俺、理人のライン知らないんだけど」
「あー、ごめん。口で伝えて」
「……本当に教えられないのか?」
「うん、ごめん。母さんが厳しくって」
宇佐美は大きなため息を吐く。
「……変な家だよな、友達とメールも電話もできないなんて」
「いや、本当、ごめんな」
一応、俺の連絡先事情はそういうことになっている。
母親が厳しくて、交友関係に制限をかけている。だから普段は早く家に帰らないといけないし、ラインも交換できない。
……そういうことに、なっている。