亘さんは世渡り上手


谷口はふるふると頭を横に振った。



「……って、そうじゃなくて! 借り物競争の順位で勝負しようって話!」


「はい。受けてたちます」



ファサッ。


亘さん、もうファサッを習得してる。



「だから、やっぱり言い方が軽いんだって! 一番になったら、理人に告白できるんだよ!?」


「そうですね……両方一番にならなかったり、両方一番になったりしたらどうなるんですか?」


「それは、順位が高い方が勝ちで、同じだったら引き分け。告白は一番にならないとできないから、両方一番なら両方告白できる……って、だぁかぁらぁ!」



谷口はすっかり亘さんに振り回されている。


あれが本当の谷口だろうか。俺といるときよりも生き生きしている気がする。いつもはわざとおとなしくしてたのか。


それにしても、なんか面倒なこと考えてるな。俺が亘さんのことを好きだっていうことは伝えたし、遠回しに断ったはずなんだけど。


でも、なんでそれを亘さんが了承するんだ?


亘さん、俺のこと好きじゃないよな?

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