茜空

私は
あなたのお母さんに
頼まれて
来ただけ

むしろ
こちらが用件を
聞きたいくらいよ

でも
いい機会だから

一つ
あなたに
お願いしたいことが
あります



お願い…ですか
怖いですね

…どうぞ



先日
あなたが
雪山で自殺を
図りかけた時に
私が一緒に
連れて行った
あの娘は

私とあなたの子供です

ですから



認知でもしろと?



はい
私のお願いは
子供の認知です



今だに
そんな事を
言うなんてね

16年前
あなたに
子供が出来たと
言われた時にも
言いましたが

あの子が
僕の子供だという証拠
ありますか?

事実
あなたは
あの時
複数の男友達の家を
転々と泊まり歩いていた
じゃないですか

誰の子供か
分からないのが
本当の所じゃ
ないですか?



私は
男の家に
泊まり歩いてなんか
いない

誤解です

娘に親子鑑定
受けさせても
構いません



あーそうかー…
今分かりました
あなたの目的

僕の持ってる
エリオの株でしょ?

子供の話まで引き出して
まるで脅しだ



敦…



下の名前で呼ぶの
止めてください



……ここで今
あなたと
何を話しても
無駄なのね


分かりました

こんなやり方は
したくなかったけど

こんな状況なら
出るとこ出ましょう

私は
娘のためだったら
なんだってする



できるものなら
お好きに

しかし
紺野社長も
無傷では
いられないのでは?

過去が全部
マスコミに暴かれて

あなたの大切な会社も
窮地に立たされますよ




敦は
16年前と同じように
また私を
冷たい目で
非情に突き放す……
< 114 / 161 >

この作品をシェア

pagetop