茜空

なんなのぉー!
お母さんてば!

そんなに
あたしから
楓を
奪い取りたいワケ!?



奪い取りたい?

おかーちゃん
なに言ってんの?

アタシが
邪魔で

おばあちゃんに
押し付けたのは

おかーちゃん
じゃないの?



変な
言い方
しないで
ちょうだい!

奪った
なんて

冗談じゃない!



奪い取ったじゃん!!

あの時!!!



あの時??



いい加減にしろっ!!
昔のこと
掘り返して
何になる!!


あーぁ…
おじいちゃんまで
切れちゃった



いいか、咲和

楓は
もう自分の事の
ほとんどは
自分で決められるが

お前に
誘われた
からといって

はいわかりましたと
これは
すぐに返事できる
問題じゃないぞ

母さんも
一緒になって
カッカ
するんじゃない!



おじいちゃんの
ジャッジで
おかーちゃんと
おばあちゃんは
急に
黙っちゃった

ねー
あの時って
いつよ??


何だか
地雷っぽくて
聞けないや

踏んだら
どかーん

なんだろうな
きっと

腹いせ
っぽく
おかーちゃんが
タバコに
手を伸ばすと


タバコなら
外でしてちょうだい!!


おばあちゃんも
負けじ
と言わんばかりだ

おかーちゃんは
灰皿を
えいっ!
っと掴んで

おばあちゃんに
ガン飛ばして
出て行った

おばあちゃんは
酢豚を
温め直す
と言って
台所に
消えた

アタシと
おじいちゃんが
取り残されて

おじいちゃんは
静かに


ゆっくり
何年かかっても
いいから

きちんと
自分の心と
向き合いなさい

昔の事は
昔の事だ


楓の目に
見えている事が
全てなんだから

咲和や
ばあさんが
口走ることは
気にするな

いつまでだって
ここに居て
構わないから


と言って

アタシの
頭を

撫でてくれた
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