茜空

その様子を
アタシは

ぼー…
っと

見てる


というか

カラダが

眼球が

硬直
した


アタシの
耳は

おかーちゃんの
声だけ
拾う

マイク
みたく
なって

生々しい
声で

アタシの
頭の中は

埋め尽く
された






アタシを

現実に
戻したのは

ケータイの
バイブ

とっさに

玄関から
飛び出して

反射的に
ケータイの

真ん中の
ボタンを
押すと

相手は


…シュウだった


…もしもし…


オイ!!

お前
どういう
つもりだ!

メールも
電話も

シカト
しやがって!!!




(シュウは
こんなに
ヒステリックに
怒る男
だったんだ)


オイ
お前

今どこ
居るんだ!?

オレんち
来いよ!



(また
やろう…
させろ…
って?)


オイ!!
聞いてんのか!!


(恐喝かよ?

こんな男に

アタシは
易々と

カラダを
許してたんだ)



アタシの
ケータイに

二度と
連絡
よこさないでっ…!



ハァ?!
お前
ざけんなよ!!!

オメーみたいな
デブ

他に
誰が
構うかよ!!


アタシ
シュウと

二度と
会わないから


ピッ

ケータイの
電源
切っちゃえ



カラダも
気持ちも
へとへとなのに

おかーちゃんち
目の前にして

お茶すら
飲めない

行く宛てなく
アタシは

来た時と
同じく

大きな荷物
持って

忍者屋敷
を出た
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